問題だらけの水道民営化 パリやイギリスではすでに失敗した政策がなぜ進められるのか

海外では失敗に終わっている水道の民営化。強行に進める安倍政権に対して、野党は一斉に反発している。

社会

2018/12/06 12:00

水道
(KOICHI SAITO/a.collectionRF/Getty Images Plus)

自治体が水道事業の認可を受けたまま、運営権を民間企業に委託する「コンセッション方式」の促進を盛り込んだ水道法改正案が4日の参院厚生労働委員会で、自民党・公明党と日本維新の会などの賛成多数で可決された。

5日の参院本会議で可決され、衆院の審議を経て今国会で成立する見通し。現行法は「水道事業は原則、市町村が経営」と規定しており、大きな転換点となりうる。しかし、世界では水道民営化が失敗している。

 

■パリの水道料金は1.7倍に

たとえば、パリ。親日家で知られるジャック=シラク前大統領がパリ市長だった1995年に水道の民営化を実施した。民営化が始まってから水道料金は1995年から08年までに174%増で水道の質も下がった。

2001年にパリでは130年ぶりに政権交代が起き、左翼姿勢になったがベルトラン=ドラノエ市長は2010年、水道を再公営化された。

英国では、民間に売却・委託された水道で、料金高騰や質の低下が起き、請負企業の大規模な破綻などが発生し、社会問題となっている。

英国は世界に先駆けて、1989年に民営化した水道事業では、料金が実質40%以上値上がりする一方で、水道企業は毎年100億ポンド(約1兆4480円)の利益を上げていることが明らかにされた。

 

■英国の水道会社は外国人投資家の傘下に

イングランドの地域水道会社の経営トップは、会社の業績と連動した高額な報酬を受け取っている。会社の株は75%が外国人投資家が保有している実態がある。

香港やマレーシアの大富豪、大手の投資銀行、中国やシンガポール、アブダビ、クウェートなどの政府系ファンド、カナダの州の年金基金などが含まれている。

本来であれば設備の改善や労働者の賃上げ、料金値下げに使われるべき資金が、配当として流出している。投資家に一定の配当を保証する契約に縛られ、配当を支払うために借金するずさんな経営が行われているケースもあるのだ。

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■野党は「水は命そのもの」と反発

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