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米、水、人、そして佐渡 「朱鷺の島」の恵みを四宝和醸で醸す『真野鶴』

新潟県・佐渡ヶ島で『真野鶴』を醸す尾畑酒造を取材。

グルメ 地域

真野鶴

『真野鶴』の蔵元・尾畑酒造は明治25(1892)年創業。酒造りのモットーは「四宝和醸(しほうわじょう)」。

これは尾畑酒造オリジナルの言葉で、酒造りの三大要素と言われる「米」「水」「人」に、それらを育む「佐渡」を加えた四つの宝の和をもって醸すという姿勢を現す。 

 

■『世界農業遺産』の島

真野鶴

国連食糧農業機関(FAO)が認定する、世界農業遺産の島・佐渡。島では、朱鷺を中心とした生きものの多様性を育む農業が進められている。

その中でも生きもの調査を実施しながら化学農薬・化学肥料を減らして栽培している米を「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」で認定。

尾畑酒蔵では、認証米に指定され、さらに独自の牡蠣殻農法を取り入れた契約農家が栽培した越淡麗をはじめ、島南部の山間部で清水により育てられた五百万石、さらには昨年から新規に作付けを始めた佐渡産山田錦などを中心に使用。

こうした米を佐渡の山脈から得られる柔らかな水で仕込んでいる。

 

■佐渡の風土を写す味わいを目指して

真野鶴

真野鶴の五代目となる専務の尾畑留美子さんは蔵の次女として生まれながら、東京で映画業界に身を置いていた。

そこで出会ったのが当時大手出版社で働いていた現社長の平島健さんだ。二人は1995年に結婚し、蔵に戻る。目指す味わいは佐渡の風土を写す、バランスのとれた透明感あふれる味わいだ。

酒の個性を生かしつつ、盃を重ねるごとに旨みが増していくのが理想という。その信念に基づいて造られた酒は、全国新酒鑑評会「金賞」、IWCゴールドメダルなどの受賞をはじめ、エールフランス航空ファーストクラス機内酒、トレインスィーツ四季島での採用など、高く評価されている。

海外展開では現在は16カ国に輸出。 尾畑酒造の経営理念は「幸醸心(こうじょうしん)」。この言葉も尾畑酒造のオリジナルだ。

平島さんは 「酒を醸すことで、幸せを醸していきたい」と言う。 尾畑さんは 「酒は故郷を伝える語り部。真野鶴を通して佐渡の魅力を広い世界に届けたい」と話す。

そんな二人の思いが詰まった新しい取り組みが、2014年にスタートした「学校蔵プロジェクト」だ。

 

■「日本一夕日がきれいな小学校」を酒蔵に再生

真野鶴

平島社長は、「日本で一番夕日がきれいな小学校」と謡われながら少子化のため2010年に廃校になった旧西三川小学校を、酒造りの場「学校蔵」として甦らせた。そこには、4つの柱がある。

①酒造り:オール佐渡産の酒米で純米酒を醸し、そこに佐渡の天然杉を浸漬して木のぬくもりを感じる酒に仕上げる。

 

②学び:酒造りを学べる場として、国内外より希望者を受け入れる。

 

③交流:年1回開催する「学校蔵の特別授業」をはじめ、大学などとの様々な連携交流。

 

④共生:自然との共生を考慮して太陽光パネルを設置し、酒造りのエネルギーは電気に関して理論上100%自然再生エネルギーを導入。

 

他にも、地元農家の柚子を活用して柚子リキュールを作るなど、地域との共生を広げている。

 

■佐渡と世界、百年の時をつなぐ酒

真野鶴

尾畑酒造は真野鶴を佐渡と世界をつなぐ酒と捉えて、多くの交流事業にも携わっている。この活動を通して酒を育む佐渡の地と人がより元気になればこそ、百年の後も酒造りを続けていけるという思いからだ。

佐渡が真野鶴を生み、真野鶴がまた佐渡を生かしていくことだろう。蔵元の薦めるお酒を紹介しよう。

 

①『真野鶴 純米吟醸 朱鷺と暮らす』

真野鶴

新潟限定酒米「越淡麗」を100%佐渡産で使用。さらには朱鷺が住む環境を守るため、減農薬・減化学肥料などで自然との共生を目指した農法「朱鷺と暮らす郷づくり認証米制度」の認証を受け、さらに佐渡の牡蠣殻を土壌・肥料・水作りに活用した牡蠣殻農法で育てた越淡麗を使用。

トロピカルフルーツの爽やかな香りと爽やかな味わいが楽しめる。

 

②『真野鶴 辛口純米』

真野鶴

日本酒度+15という、日本有数の辛口に仕上げた純米酒。重くなりがちな純米酒を爽快に仕上げ、常温、ぬる燗では米の柔らかい旨みを引き出す逸品。繊細な味わいで、魚にはぴったりだ。

ちなみに、この酒の原酒については、日本酒度が+20を越えないと出荷しないという屈指の超辛口「超真野鶴」として販売されており、毎年予約で完売という人気ぶり。

 

③『真野鶴 磨三割五分大吟醸 万穂(まほ)』

真野鶴

日本一にも輝いた実績を持ち名杜氏と謡われた先代杜氏・松井万穂氏からその名を頂いた真野鶴の看板酒のひとつ。

熟成したフルーツのような芳醇な香りを放ちながら、透明感のある味わいは飲み手を虜にする。冷やせば料理いらずで楽しめ、常温で料理を引き立てると、我儘な飲み手にもぴったり。

全国新酒鑑評会2001年以降11回の「金賞」受賞、IWCゴールドメダル2回受賞など、数々の栄誉に輝く。

・合わせて読みたい→米どころ新発田で米作りから 料理に寄り添う日々の定番酒にこだわる酒蔵『金升』

(取材・文/伝農浩子

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