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「死んだ人を否定する」タブーも辞さない 『明日の約束』の感動的な最終回

「自殺が辛い現実から逃げるための手段だと思ってほしくない」というメッセージも話題。

エンタメ

(画像は『明日の約束』公式サイトのスクリーンショット)

5日、井上真央主演の連続ドラマ『明日の約束』(関西テレビ・フジテレビ系)の最終回が放送された。

未成年の自死やDV、毒親など重いテーマを孕んだ本格派ヒューマンミステリーも終幕。想像の斜め上をゆく「メッセージ性の強いラスト」がファンの間で物議をかもしている。

 

■「自分のせいで死んだ」という罪悪感

明日の約束

(画像提供:(C)関西テレビ『明日の約束』)

不登校の男子生徒・圭吾(遠藤健慎)がスクールカウンセラーの藍沢日向(井上)に告白した翌日に不可解な死を遂げ、日向がその真相を探っていくという本作。

前回までは、圭吾に関わる人物の多くが「自分のせいで圭吾は死んだのでは?」という罪悪感を抱えていた。また、インターネット上での「自殺の原因を作った犯人探し」や晒しによって、傷ついた人々も多数いた状況だ。

 

■後追い自殺を図る母親

(画像提供:(C)関西テレビ『明日の約束』)

そんな中、最終話の冒頭で圭吾の母・真紀子(仲間由紀恵)が後追い自殺を図る。猛烈なバッシングを受けたことも影響し、「自分のせいで息子が死んだ」と考えるようになったのだ。

たまたまそこに居合わせた日向は「圭吾は誰も責めていない、誰にも苦しんでほしくない」といった趣旨の言葉をかけ、止めに入る。

親子をめぐるストーリーに、ネット上では感動を述べる人も少なくない。

 

■「亡くなった人は否定しない」タブーを破る

(画像提供:(C)関西テレビ『明日の約束』)

「犯人探しは愚か」というメッセージが随所に散りばめ慣れたこの作品において、「もっとも悪意のある人物」なのは担任教師の霧島(及川光博)だろう。

さり気なく「圭吾が担任に告げ口をしている」という空気を作り出し、わざと圭吾をクラスで孤立させたからだ。

しかし、終業式でのスピーチで日向が「一番許せない」と言ったのは、予想に反して霧島ではなかった。

「許せないと思っている人がいます。亡くなった吉岡圭吾くんです」

 

生徒は教職員がザワつく中、日向は、

「亡くなった人を否定的に語るのはよくないことだとわかっています」

 

と前置きをして真意を語りだす。

 

■死んで逃げるより生きて逃げる

以下、日向の言葉だ。

「自殺という行為が辛い現実から逃げるための手段だと思ってほしくないんです。

 

(中略)

 

私は吉岡くんに生きることを選んでほしいと伝えたかった。彼が心に抱えていた悩みや苦しみから、生きて逃げる勇気を持って欲しかった」

 

と心の中を吐露し、「今、生きている人に向けて」下記のようなメッセージを訴えた。

「生きて逃げることを第一に考えてください。苦しさに耐えても、心が壊れて命を失ってしまったら、なんの意味もないんです。だから辛かったら逃げてください。生きることから逃げさえしなければ、生きていれば、人はやり直せるから」

 ■愛ある言葉も要約すれば炎上記事にできる

日向が上記の発言をした会場には、放送開始当初にゲスな発言を連発していた週刊誌記者の小嶋(青柳翔)も取材に訪れていたが、

「旬が過ぎたネタ、炎上させてもアレなんで、穏便な記事にしておきますよ」

 

と呟いて歩き去る。

生徒への愛情がこもった日向のスピーチだが、一方で女性向け掲示板『ガールズちゃんねる』では、下記のような書き込みが注目を集めていた。

「【スクールカウンセラー退任、スピーチで『自殺した生徒が一番許せない』語る】 みたいなゲスい見出しの記事書かれそうで怖いwww」

 

愛のある言葉も要約次第では炎上記事になりうる。このドラマの視聴者は、すでに十分理解しているようだ。

 

■「逃げるチカラ」は大人にも大切

最終回まで徹底して、「ネットニュースなどの情報に踊らさせれ、会ったこともない人物をバッシングすることの怖さ」に警鐘を鳴らし続けた本作。

同時に、未成年のみならず大人にとっても大切な自衛方法「逃げるチカラ」についても強いメッセージを発している。

簡単そうでじつは難しい「逃げ方」。一人の少年をめぐって繰り広げられた物語である一方で、自分の身に置き換えて考えた大人も多かっただろう。

《これまでに配信した『明日の約束』記事一覧はこちら

・合わせて読みたい→ミッチーはサイコパスが似合う? 醜悪な本音が大噴出の『明日の約束』

(文/しらべぇドラマ班・星子

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